マーズワン 火星移住への道

応募者総数 20万2586名 => 一次選考通過 1058名 => メディカルチェック通過 705名 => 660名 二次選考通過 100名 => 三次選考へ

Header image: Courtesy of Bryan Versteeg and Mars One www.mars-one.com. All rights reserved.

Mars One: Humanity's Next Great Adventure が出版された!

My original book review (in English) can be found at www.amazon.com . 

 

                                                

 

マーズワンはいつも論争の真っただ中にいる。 今までにないユニークな候補者の選考方法、通常の宇宙開発プロジェクトでは使われないビジネスモデルなど、批判され、そしてよく誤解されている。 この本の出版で、少し誤解がとければいいなと候補者の一人として思っている。

 

マーズワンは、国籍にかかわらず、広く一般の人々に火星へ移住するというチャンスを与えた。 ”マーズ100の候補者の心の中”という章を読むと、個人的には会ったこともない彼らの気持ちや考えを何か共有できるだろう。 スーパーマンでもない、スーパーウーマンでもない皆さんと同じ彼らを何となく身近に感じるだろう。 マーズワン応募者の言葉が本書全体にちりばめられている。 それらがこのプロジェクトをもっと個人的なもの、身近なものに感じさせている。 応募資料から引用された彼らの言葉でこのマーズワンプロジェクトが人類の火星移住を目的にしていることを改めて思い出させてくれる。 このマーズワンは人類のための、皆が参加するプロジェクトだということを。

 

本書全体で中心となるテーマは、人間という要素、”ヒューマンファクター”だ。 ロケットエンジンの燃料の種類や火星基地の建築の詳細を知りたい方が読むとがっかりするだろう。 マーズワンプロジェクトを様々な面から、各分野の専門家が率直に意見を述べている。 技術、医療、健康・フィットネス、多文化、チーム力、男女の関係、年齢、法律、エンターテイメントなどの分野から多角的に分析する。 専門家が書いているからといって、気後れするには及ばない。 一般向けに書かれているので分かり易く、宇宙に興味がある方たち、チームで仕事をするような環境に置かれている方たちにとって、興味深く読めるに違いない。 もしあなたが将来地球外に移住しようと企てているのなら、ちょうど良いガイドブックになるかもしれない。

 

私たちは毎日当たり前のように過ごしている。 水、空気、太陽の日差し、食物、重力、家族、友人、職場の同僚など、普段あまり深く考えていないかもしれない。 でもこれらはとても特別なことなのかもしれない。 この本”マーズワン:人類の次なるグレートアドベンチャー”が、私たちの日常に新たな興奮や新しい視点をもたらしてくれればと思っている。

 

この本をすべての年代の方々におすすめしたい。 特に10代のみなさんには読んでほしい。 将来彼らが大人になる頃には、地球に住むのか、他の惑星に住むのか、選択できるからだ。

 

By マーズシェフ

この書評のオリジナル(英語)は、アマゾンドットコムに掲載されています。

*注

現在、本書は英語のみで出版されています。 もし日本語翻訳をご希望される出版社の方は、マーズワン財団 広報 press@mars-one.com までご連絡くださるようお願い申し上げます。 

 

 

宇宙長期フライトのヒューマン・ファクター専門家たちが監修したマーズワンの本が出版

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ドクタークラフト    レイ・キャス博士    ジェームズ・キャス博士 

(写真:www.mars-one.com マーズワンHPより)

 

新年明けましておめでとうございます。 いつか火星からこんなごあいさつができればいいなと想像しながら書いています。

今年は、マーズワンにとって重要な年になります。 9月にはいよいよ、最終選考が行われ、正式な訓練を受けられる24人が選ばれます。

 

2月には、候補者選考責任者のドクター・ノルバート・クラフト氏が監修した本が出版されます。 タイトルは、"Mars One - Humanity's Next Adventure - Inside the first human settlement on Mars" (マーズワン 人類の次なるアドベンチャー 人類最初の火星移住の舞台裏)。原文は英語ですが、おそらく他の言語にも翻訳されるでしょう。 

 

ロシア、欧州、米国, カナダ、日本などの世界各国の宇宙飛行士選考プロセス、宇宙空間での長期フライト、スモールチーム、閉鎖空間における人間の行動などの研究に関わりあったヒューマン・ファクターの3名の専門家でありマーズワン選考責任者であるノルバート・クラフト(Norbet Kraft, MD)氏、選考委員のジェームズ・キャス氏(James R. Kass, PhD)とレイ・キャス氏(Raye Kass, PhD)が監修しています。 その他いろいろな分野の専門家がユニークな視点からマーズワン、マーズワンの選考プロセスについての見解を述べています。 またマーズワンに応募した方たちの提出した書類から彼らの言葉、回答を抜粋し、各ページに掲載されていますので、火星へ行きたいと思う人たちはどんなことを考えているのかが理解できるかなと思います。 日本語の翻訳版に興味がある出版社は、いらっしゃいますか? ベストセラーにはならないかもしれませんが、人類の歴史の記録として残す価値はあると思います。 

 

                                                  

 "Mars One - Humanity's Next Adventure - Inside the First Human Settlement on Mars"  (マーズワン 人類の次なるアドベンチャー 人類初の火星移住の舞台裏)

 2016年2月発売

 

ちょうど、映画『オッデッセイ』の日本公開も2月ですね。 あわせてどうぞ

 

SpaceX社 ファルコン9の打ち上げロケットが地上に着陸成功! ロケットの再利用へ

通常、切り離された第一段の打ち上げロケットは、使い捨てにされている。 

でも、イーロン・マスク率いるスペースX社のファルコン9の切り離された第一段の打ち上げロケットが地上に戻り、着陸成功した。 これがどれくらい大変なことかというと、 鉛筆をエンパイア・ステートビルの上空を通過するように投げて、地上に置いてある靴の箱の上に鉛筆を立てる、ような感じだそうだ。

 

この成功の意味するところは、とても大きい。 まずロケットの打ち上げコストが10分の一に下がるという。 さらに長期的には、ロケット発射のコストが下がることによって、宇宙旅行が一般的になり、火星移住もさらに現実的になるだろう。 イーロン・マスクは日頃から火星へ1万人規模の移民を送り込みたいといっている。  有人飛行用のロケットは、ファルコンヘビーというタイプ(ファルコン9のブースター3本)だが、今回の打ち上げが成功したことにより、開発にも勢いがついてほしい。 次に楽しみなのは、この帰ってきた打ち上げロケットが実際に再利用できるかどうかだ。 がんばれSpaceX!

 

お時間のある方は、以下のビデオを見てほしい。 2015年を締めくくるにふさわしい、久しぶりにわくわくするニュースだ。 ありがとう、SpaceX!

 

32分26秒あたりから、戻ってきたロケットが着陸する瞬間が見られます。

www.youtube.

 

 

火星へ行くファイナル4人を選ぶには

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”マーズ4”を選ぶ

by Vince on Thursday, 12th November 2015 in Astronaut Selection

前回は、 100人から正式に訓練を受ける24人はどのように選ばれるのを説明した。 引き続き、マーズワン候補者選考責任者のノルバート・クラフト博士に、火星へ行く最終の4人はどのように訓練され、選ばれるのかをきいてみた。 Dr. Norbert Kraft’s Biography

 

これから応募者20万人以上の中から24人を選ぶことになる。 訓練と選考方法については、これから(マーズワンのトレーニングについての)放映権を持つことになる組織と話をつめていくことになる。 訓練の課題によっては、他よりもビジュアル(視覚的)に適しているものがあるからだ。  しかし、チームが学ばなければならない事柄については、我々がよく知っている。 

 

基礎訓練は、”マーズ24”(訓練に入る24人)がマーズワンの訓練施設で共同で生活し、勉強することになる。 彼らの家族も一緒でもかまわない。 毎年、この24人は火星での自給自足に必要とされる技術と知識を学ぶ - 医学、歯学、農業、電気、政治学、法律などである。  毎年9ヶ月間は一緒に訓練を受ける。 チームメンバーは世界中から選ばれることになるから、いくつかの訓練は各メンバーのホームカルチャーで行われることになるだろう。  例えば、候補者がロシア出身の場合は、その候補者のチームはロシアでしばらく過ごし、 ロシアの文化に馴染むことができる。

 

一年のうち3ヶ月間は、他のチームと競争することになり、これはちょっと手ごわいだろう。 4人で構成された6チームが、9ヶ月間学んだ後、課題に挑戦する。 各チームがお互い競争することになるが、時には2チームが協力しなくてはならないこともある。 これは非常に重要なことだ。 最初のチームが火星に到着した後、次の新しいチームを送ることになる。 すでに火星に定着し人間関係を築いたチームは、次に来る新しいチームをどのように迎え入れるのかを考えなくてはならないからだ。  

 

彼らが競争している時、課題に取り組んでいるときのチームダイナミクスとどのように成功に導いたのかを我々は観察する。 どのように上手くやっていくのか、または解決できない問題があるとき、どのように対処するのか?  どのようにチームが気持ちを切り替えまとまっていくのか? また、解決できない問題に直面したとき、どのようにチームとしてのアプローチの方法を変えていくのか? 各チームは自分達のアプローチの方法を選ぶことになるーアナーキー状態(リーダーがいない)、軍隊方式、民主方式、すべて使えるだろう。 しかし、他のチームより良いパフォーマンスを出さなくてはならない。 異なる課題ごとにチームアプローチの方法を変えていくのはとても重要だ。 この適応能力が、火星での過酷な環境で生きていくために必要なのだ。 チームは、課題によってこの能力を養い、経験を通してこの能力を高めていくことになる。

 

各チームには特定の専属トレーナーが付くことになり、各チームは訓練を続けるために競争を続けていくことになる。 つまり、いくつかのチームは競争の後、訓練から離脱することになる。  マーズワンが新規の応募者の受付けを開始すると、新しいチームが加わることになるからだ。

 

勝ち残っていくチームの決め方だが、毎年5つの投票によって決めていくだろう。 最初の投票は、チーム競争に勝つことから1票が得られる。 3票は、課題分野の専門家によって判断される。 残り最後の1票は一般投票によって決められ、複数のチームが同点の場合には勝敗を決定するタイブレーカーとなる。

 

なぜマーズワンはこのような重要な選考に一般投票を加えるのかと疑問に思われるかもしれないが、 マーズワンは人類全体のミッションであるという事実がある。 彼らが火星へ行くとき、彼らは我々人類全体を代表していくのである。 誰が人類の代表にふさわしいのかを決定するとき、一般投票も含める必要がある。

 

Story by Vincent Hyman, a writer and Mars One volunteer living in St. Paul, Minnesota, USA.

(注*上記は、読者の皆さまの利便性を考慮し、私個人が日本語翻訳いたしました。マーズワン財団が承認したものではありません。 翻訳の内容に疑問をもたれる方は、以下原文をご参照いただければ幸いです。もし翻訳に誤りなどがございましたら、コメント欄にてご指摘くださいませ。 ご協力ありがとうございます。

The story above is the Japanese translation of  the story below.  It has been prepared for the convenience of Japanese language readers.   It is "not" the official translation approved by Mars One.   If you have any questions about the translation,  please refer to the original English page. 

community.mars-one.com

火星は太陽風とともに

11月5日 またまたNASAから火星についての興味深い研究結果が発表された。

 火星探査機 メイヴン MAVEN (Mars Atmosphere and Volatile Evolution) によると、太陽風 (sloar wind) が原因で100gm/sec の割合で火星から大気が失われている。 たったこれくらいと思われるかもしれないが、これが何十億年という単位でみると火星の気候にかなりの影響を与える。 さらに惑星の気候変化のプロセスが解明されることで、何十億年前はウェットであったかもしれない古代火星の環境がわかり、それは生命存在のカギとなる条件の研究につながる。 

これはすでにわかっていたことじゃない? という方がいるかもしれない。でも、これまでは仮説でしかなかった。 今回、MAVENによって観察されて検証できたことは、とても意義深いと思う。

 

現在の火星では磁場が残っていないので、太陽風をさえぎるものはない。 大気は剥ぎ取られ、宇宙線はそそぎっぱなし、火星の表面は人間にとっても、他の生命にとって過酷な環境。 でも地下奥深くには何かがいるかもしれない? 

 

以下は太陽風が火星の大気を剥ぎ取っていくアニメーションです。

www.youtube.com

 

2015年11月5日発表のNASAのプレスリリース 

www.nasa.gov

   

映画The Martian マーシャンを観にいってきた!

あの『エイリアン』のリドリー・スコット監督、マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン出演の『The Martian』が公開されている。 日本公開がまだのようなので、内容についてはここではふれません。 特撮ではない実写の火星のような風景が画面いっぱいに広がります。 これを観るだけでも価値がある映画かもしれません。 地球から火星へ向かう宇宙船ヘルメスのデザインもなかなか良いです。 無重力環境から人工重力の環境へと移動するときのクルーの動きがとても素敵で、目に焼きついています。 実際は地球で撮影されているので、火星ではこういうことにはならないよね、と少しクリティカルな目線からみてもおもしろいと思います。

 

一言だけ言わせてもらうと、メキシコで公開されている際のスペイン語のタイトル『Mision Rescate (レスキュー・ミッション)』がいまひとつ腑に落ちない。 

 

配給会社のご担当者さま、スペイン語タイトルは『Mision Marte』の方がいいんじゃないですか? 日本語タイトルの方も、『火星オデッセイ』じゃだめでしょうか? 火星という言葉を入れてもらえれば大変喜ばしいです。 日本での公開は、来年2月のようですが、日本公開前に少しタイトルの検討をお願い致します。

 

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最後に、映画を観た後で強く思いました。 火星へのミッションは、やはりマーズワン方式の”移住”を目的にした方が安全だと再確認しました。 最初から火星に移住で行った方が、万が一地球に戻れなくなったときに、あせらずに済むでしょ。 火星からロケットを打ち上げて地球に戻ってくるということは、とても大変なことなんです。

 

おまけ: 

この方(下のYouTube)が原作者のアンディ・ウィア。 元コンピュータ・プログラマー。 

最初はソフトウェアのプログラミングの仕事もしながら、SF小説を書いていたそうですが、今回の映画化で、今は作家としての活動に専念しているそうです。 映画の中で、地球から火星への行くための軌道の計算が出てきますが、その軌道計算のプログラムもご自身で作ったそうです。 かなりのマニアックな方です。 宇宙関係の方々の話などを一切聞くことなく、この小説を書き進めていったそうですが、今までにない科学的にしっかりした火星を舞台にした小説だという評判です。

 

ぜひ本の方も読んでみてください。 原作の"The Martian"には科学的詳細が満載です! サイエンスにこだわりのある方には原作をお奨めします。

 

www.youtube.com