マーズワン 火星移住への道

応募者総数 20万2586名 => 一次選考通過 1058名 => メディカルチェック通過 705名 => 660名 二次選考通過 100名 => 三次選考へ

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マーズワン選考プロセスについて ドクタークラフト氏が回答する!

 Astronaut Selection Process Q&A with Dr. Norbert Kraft

マーズワン候補者選考プロセスについて

- ノルバート・クラフト博士が皆さんの質問に答える -

by Natasha Schön on Wednesday, 9th September 2015 in Expert Opinions

2015年2月16日、次の最終選考へ進むマーズワン100人の候補者が発表された。 この発表で、誰が火星への最初の人類になるのかと世界中が注目した。 また選考プロセスが皆の興味を引き、さまざまな質問が寄せられた。 それらの質問に対して、マーズワンチーフメディカルオフィサーのノルバート・クラフト博士が回答する。 

 

Mars100の候補者についてのプレスリリース

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質問:

”NASAの宇宙飛行士は、体力的にも心理的にも厳しい審査を通らなくてはならないということは知られていますが、マーズワンの審査基準も同様に厳しいのでしょうか?” (Stephan M Grima さん)

 ドクタークラフト博士の回答:

”マーズワンとNASAは異なる目的を持っているため、お互いに異なる評価基準を持つことになる。 また状況によっては、マーズワンの方が厳しい基準を持つことになる。 例えば、マーズワンの候補者は、火星で必要になるすべての専門性についての知識、医歯学、工学、地質学、生物学、植物学、毒物学、などについて幅広い知識を有することになるだろう。 結局は、マーズワンの候補者は、マーズワンのプロジェクトにとって適性かもしれないが、NASAには適しないということだ。 

  

 質問:

”どのような心理的な試験を候補者は通過しなくてはならないのでしょうか? 私が想像するに、このようなミッションは、健康で確固たる意志をもった人を必要とするのではないでしょうか?” (Alex G Orphanosさん)

 回答:

スペースミッションにおいて、宇宙飛行士として成功に一番必要とされる人格的な特徴は、感情と心理面においての安定である。 それは、個人的な決意と動機付けに支えられる。 火星へのミッションは、その基盤の上に築かれなければならない。 火星へ到着した後は、地球へ戻る方法はないのだ。 火星が彼らのホームなるのだ。 従って、確固とした深い目的意識が、個々の宇宙飛行士の心理的な安定を保ち、共通の未来へ向かってともに働くよう集中できるのだ。

マーズワンは、候補者の内省 (self-refrection)する 能力を十分すぎるほど強調しなくてはならない。 この基本的な能力なしでは、潜在的に持っている5つの特徴、不屈の精神 (resiliency)、適応能力(adaptability), 好奇心(curiocity), 信頼する力(ability to trust), 創造性/リソースフルネス(creativity/resource-fulness) をフルに活用できないからだ。

マーズワンは、候補者が特定の課題を行う際に要件を満たしているかどうかを観察し、評価していく。

 

質問:

”宇宙飛行士が頭がおかしくならないようにどのような方法をとるのでしょうか?” 

(Richard Lastさんより)

 回答:

”訓練中の候補者は、毎年医学検査を受ける。それには精神分析も含まれている。

 

 質問:

”子供を生むことは許されるのでしょうか?” (Jessica Stoneさん)

回答:

マーズワンは、最初のグループの移住者たちに子供をつくらないようにと助言する。まず、当初の火星で生活は、子供にとって適した環境ではないだろう。 また、軽減された重力環境(地球の38%)が、胎児へのどのような影響を与えるのかはっきりわかっていない。 一方で、マーズワンとして、本当の意味での火星移住は子孫を残すことも必要だと認識している。 従って、これは重要な研究テーマの一つである。 

最終的には、候補者が状況を考慮し正しい判断をすることになる。

 

質問:

 ”ドクタークラフト博士、あなた自身が参加した閉鎖環境実験で、プライバシー/プライベートスペースが無いことについて、あなたや他の参加メンバーに特に問題はなかったですか? また、このようなプライバシーの欠如に対してなにかよい対処方法はありますか?” (Lucie Ferstováさんからの質問)

回答:

私個人としては、プライバシーの欠如についてはなんの問題もなかった。 しかし他の何人かの参加者は多少問題があったようだ。 これらの参加者は、対人関係で問題があり、それらが殴りあいの喧嘩、また性的嫌がらせに発展した。 結果的に、参加者一名が予定よりも前に実験から離脱してしまった。 

火星へのミッションでは、あなた方はプライバシーの欠如に対応しなくてはならない。 従って、プライバシーの欠如が問題だと思われる方たちにとっては、火星へのミッションは良い選択だとはいえない。 例えば、あなたが飛ぶことに恐怖を感じるのであれば、パイロットになるべきではない。

 

質問:

”最終選考プロセスの後、いつどの時点で候補者たちはフルタイムの訓練に入るのでしょうか?  言い換えれば、今の仕事をいつ辞めればいいのでしょうか?”

(Joel Hâland, David Halliganさん)

回答:

4次選考プロセスの後、選ばれた24人がフルタイムの訓練に入る機会がオファーされる。 火星へ飛び立つ直前まで、各候補者に対してフルタイムの訓練と審査が続けられる。 100人の候補者から24人をどのように選考するのかについては、"Screening from 100 to 24" を読んでほしい。

 

質問:

”660人のリストから100人にカットしたのは、かなり思い切った選考だと思いました。なぜ、100人にしたんですか?” (Vastitas Borealisさん

回答:

660人から100人に選考したのは、かなり極端だともいえるし、他の人にとってはそうではないともいえる。 100人という数字は、これから行われる次の選考プロセス、すなわちグループで課題にチャレンジする選考プロセスにとってはよい人数だ。

 

質問:

”すでに行われた二次選考審査での、3つの評価基準を教えてください”

(Jacqueline E K Pooleさん)

回答:

3つの評価基準は、ミッションのリスクと危険性を理解しているかどうか、チームスピリットをもっているかどうか、火星へ行く正しい動機付けをもっているかどうかだ。 正しい動機付け無しには、火星で生きるための知識は学べない。地球との通信は、途切れ、常に遅れるからだ。 チームワークとチームスピリットは火星で生きるため、ミッションを成功に導くためのカギだ。 もし候補者の動機付けが正しくない場合、他のメンバーと同じように実行できないだろうし、チームメンバーを危険にさらす恐れがあるだろう。

 

質問:

”100人を選んだ面接のなかで、一番効果的な質問はどれでしたか? a) 技術的な質問 b) 心理的な質問?” (Ramin Azarさん

回答:

大まかにいうと、大部分の候補者は、知識(勉強)不足のために選考からはずれた。 しかしながら、技術的、心理的質問の両方は同じくらいに重要であり、今後の審査も両面から継続することになる。 技術的質問が意味するのは、候補者がどれくらいこのミッションのリスクと危険性を理解しているのかを探るためである。 一方で、心理的質問はチームスピリットを理解しているかどうか審査するためのものだ。

 

質問:

”ラウンド2の候補者面接では、ある特定の数字を覚えているかどうか問われました。 数字を覚えているかどうかにどういう意味があるのでしょうか?  また、候補者の忍耐力や他者への柔軟性などはどれくらい重要でしょうか?  このようは気質は簡単にわかるものでしょうか?” (Will Robbinsさん

回答:

数字を覚えるという行為は、候補者の学習能力及び重要な学習する意欲をあらわすものである。 知識の質問は、このミッションのリスクと危険性をどれくらい理解しているかを示す。 もし、候補者がどれくらい放射能の影響を受けるか、どれくらい放射能に対する防御が必要か、どれくらいの量の水と酸素が備蓄されているのかなどを知らなければ、ミッションのリスクと危険性について理解することも準備することもできないだろう。

マーズワンは候補者に対して、 事前に与えた内容について勉強するように伝えた。 もし候補者が与えられた学習資料の一部分しか学んでいないとしたら、彼らのチームメイトを危険にさらすことになるだろう。 例えば、ある候補者が麻酔薬を投与する必要があるとする。 しかし、この候補者は、適性の量を知らずに誤った量をチームメイトに与えることは、非常に致命的である。 NASAを例に言うと、候補者が手順とプロトコルに従うことができるかどうか、繊細な機器を注意深く取り扱うことができるかどうかを見極めるために、宇宙飛行士候補者に1000時間の飛行訓練を課する。 パイロットとして、飛行スピードと高度を知る必要がある。 

チームスピリットは、学習能力、ミッションの知識と同様に重要だ。 両方とも重要であり、候補者は継続して証明していかなければならない。

 

さらに詳しく知りたい方は、以下のビデオをご参照ください。:

 

(注*上記は、読者の皆さまの利便性を考慮し、私個人が日本語翻訳いたしました。マーズワン財団が承認したものではありません。 翻訳の内容に疑問をもたれる方は、以下原文をご参照いただければ幸いです。もし翻訳に誤りなどがございましたら、コメント欄にてご指摘くださいませ。 ご協力ありがとうございます。

The story above is the Japanese translation of  the story below.  It has been prepared for the convenience of Japanese language readers.   It is "not" the official translation approved by Mars One.   If you have any questions about the translation,  please refer to the original English page. 

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シチズン・マーズ

Citizen Mars シチズン・マーズ(火星市民)というタイトルで、マーズワン候補者5人の素顔を撮ったドキュメンタリーがリリースされた。 すべて英語ですが、どこか日本のテレビ局が放映してくれると日本語版も後から出るのではないのでしょうか(希望的観測)。 インターネットに接続していれば、誰でも無料で観ることができます。 以下のリンクからどうぞ。

 

 

シャラダ(インド)、ミド(エジプト)、アドリアナ(南アフリカ)、ピエトロ(イタリア)、スーアン(アメリカ)の彼らの家まで出向いて取材し、マーズワンの候補者達のに応募の動機や家族の反応などを紹介しています。

 

10分以下のショートドキュメンタリーが全部で5作。 短いので空き時間にどうぞ楽しんでください。 もしよろしければ、コメント欄でご感想をお聞かせください!

 

宇宙に行く前に地球でどんな生活をしますか?

マーズワンの他の候補者に薦められて読んでいる本。

カナダ人で最初の宇宙飛行士になったクリス・ハドフィールド氏著の "An Astronaut's Guide to Life on Earth" を読んでいるところだ。 

             

まず最初に、彼がカナダ人初の宇宙飛行士になるまでの話が描かれている。 9歳の時にアポロの月面着陸をテレビで見てから、一途に宇宙飛行士になるため、大学ではエンジニアリングを勉強し、戦闘機のパイロットになり、NASAにたどり着くまで、宇宙飛行士になるために一直線できたスーパーマンのような人。 

 

このような方の話を読むと、いろいろな寄り道をしてきたこんな私が火星に行ってもいいでしょうか、という気持ちになる。 

 

マーズワン100名の候補者の中には、軍関係、テストパイロットもいるし、科学者もたくさん含まれてはいるが、一直線に宇宙飛行士になるためとか、火星に行くためとかで人生設計をしてきた人が少ないような印象を受ける。 かなりいろいろな経験、”寄り道”をしてきた人が多い。 これが何を意味するのかは、マーズワン候補者選考委員長のドクター・クラフト氏しか知らない。

 

クリス・ハドフィールド氏は、ちなみにギターも歌も上手でお茶目。これが超有名なデビッド・ボウイの "Space Oddity" をISSで歌った時のビデオ。 エンターティナーとしても一流。 この方はほんとにスーパーマンだ。

 

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最終選考の概要が発表された!

Screening from 100 to 24

100人から24人を選ぶには?

by Vince on Tuesday, 14th July 2015

前回の特集では、どのようにMars100の候補者が選ばれたのかを説明した。 今回はどのように100人のファイナリストから24人を選考するのかを、選考プロセス責任者であるマーズワンチーフメディカルオフィサーのDr. Norbert Kraftノルバート・クラフト博士に訊いた。 クラフト博士の経歴

 

今100人の候補者がいる。 そして火星ミッションの訓練を受けるフルタイムの仕事をオファーするため24人に絞り込む選考プロセスが用意されている。 最初この24人の候補者を1チーム4人からなる6チームで訓練を開始する。 覚えていてほしいのは、一番初めのミッションで火星へ行けるのは最終的に4人だけである。選考プロセスは最後の最後まで継続される。 訓練期間は少なくとも10年間続くことになり、かなりの長期間にわたる。

 

最初に明確にしなくてはならないのは、ここで私が説明する選考プロセスは、変更する可能性があるということだ。 しかしながら、選考は次に述べる大きな方針に沿っておこなわれていくだろう。

 

現在の候補者100名、"Mars100"は、ある特定の場所に召集され、自身で選んだチームメイト10~15名からなるチームを6~10チームつくる。 彼ら自身で選んだチームメイトと組むことにより、お互いをよりよく知り、理解しあうだろう。 チームはできる限り、年齢、国籍、民族性に多様性を持たせ、男女半々にすることが必要となる。  さらには、一緒に働くことができる候補者とチームを組む必要がある。

 

マーズワン選考委員会は、グループダイナミックス(集団力学)やチャレンジを設定し、課題に関係する勉強の材料を与える。  これらは候補者がグループにおいてどのように動くのかを観察する機会を与えてくれる。 ここで特定のチャレンジについてお話することはできないが、例えば、目隠しをされた候補者達に対して、完全な三角形をつくるようにという課題を出す。 それらをマーズワン選考委員会は、チームとしてどのように解決していくのか?、どのように候補者たちは決定し進めていくのか?、どのように彼ら自身をチームとしてまとめていくのか?、課題に取り組む際に発生するであろう葛藤をどのように扱っていくのか? - を観察する。  このプロセスで候補者の人格が浮き彫りにされてくる。 マーズワン選考委員会は、これらをすべて観察し、その後候補者たちに説明する。 毎日、10~20人の候補者たちが選考過程から外れていくことになる。  このプロセスを5日間続け、選考委員会が観察し、100人を40人にまで絞り込むことができる。  

 

次に、残った40人の候補者たちは、9日間の"閉鎖環境"試験へと進む。 閉鎖環境試験をはじめる前に、候補者たちは自分自身について、また個人的な嗜好性などについて知らなくてはならない。 長期にわたるフライト、恒久的な移住の場合には、小さなグループでは何も隠すことはできないし、お互いを避けることもできない。 一日24時間お互いをイライラさせることができるのだ!  小さなことでもかなり重要になってくる。 例えば、床に落ちている汚れた靴下、台所の洗い場に残された使ったお皿や他人の体臭など。 些細なことが大きな問題になり、長期フライトや火星永住になると、人は欲求不満を抑え続けることができなくなる。 カギとなるのは、いわゆる”悪い”チームメイトはいないということだ、しかし他の人に比べてある特定のチームメイト同士の相性が良いことはある。 そのため、我々選考委員会と候補者たちは、相性が良いもの同士を一緒にさせる必要がある。

 

閉鎖環境施設の中で、候補者たちは、これから直面することになる最終課題に関係することを勉強することになるだろう。 彼らは勉強した内容も含めて、複数の課題に直面することになる。 この課題は、ファイナル24人の候補者たちが、10年に及ぶ訓練期間に直面するような同様の状況をつくりだす。 このテスト結果によって、選考委員会は候補者を30人に絞り込む。   

 

さらに残った30人の候補者は、「火星移住者適性面接試験(Mars Settler Suitability Interview - MSSI)」と呼ばれる宇宙空間における長期フライトと恒久的な火星移住に適しているかどうかを測る。 「火星移住者適性面接試験(MSSI)」に含まれるのは、チームワーク、グループでの生活技術、動機付け、家族の問題、ストレス状況下での実行能力、特殊な職場環境、判断・決定能力などである。 面接は、4時間ほど予定し、候補者選考委員会の分析のためにビデオ録画されることになる。  

 

「火星移住者適性面接試験(MSSI)」の後、24人が選ばれ、10年間にわたる訓練開始の契約がオファーされる。

 

上記の記事(原文英語)は、Vincent Hyman, a writer and Mars One volunteer living in St. Paul, Minnesota, USA. が用意いたしました。

 

(注*上記は、読者の皆さまの利便性を考慮し、私個人が日本語翻訳いたしました。マーズワン財団が承認したものではありません。 翻訳の内容に疑問をもたれる方は、以下原文をご参照いただければ幸いです。もし翻訳に誤りなどがございましたら、コメント欄にてご指摘くださいませ。 ご協力ありがとうございます。

The story above is the Japanese translation of  the story below.  It has been prepared for the convenience of Japanese language readers.   It is "not" the official translation approved by Mars One.   If you have any questions about the translation,  please refer to the original English page. 

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火星で人類が生存するには

How to keep humans alive on Mars - Abstract Surface Habitat ECLSS Conceptual Design

パラゴン・スペース・デベロプメント社

マーズワンミッションのコンセプトデザインを発表

 

2015年7月1日、火星居住環境制御及び生命維持システム(Surface Habitat Environmental Control and Life Support System - ECLSS)に関するコンセプトデザインがマーズワンから発表されました。

これはパラゴン・スペース・デベロプメント社がマーズワンのプロジェクト要件をもとに行ったものです。 イ・クリース ECLSS は、火星上で人類が生存するための安全な環境をサポートするためのシステムです。リサイクルしながら、きれいな水と空気を供給します。 以下、全56ページに及ぶリポートの要約になります。 この要約は、マーズワンのラウンド3候補者でもある Josh Richards (オーストラリア), Oscar Mathews (US), and Ryan MacDonald (英国) が用意しました。

 

要約 — 火星上で人類が生存するために必要な環境制御および生命維持システム(Environmental Control and Life Support Systems - ECLSS)の最初のコンセプトデザインの調査研究がパラゴン・スペース・デベロプメント社により行われた。現地資源利用技術(In-situ resource utilization)を使うことにより、補給船で供給しなくてはいけない生命維持に必要な資源の量をかなり減らすことができる。 ECLSSの要件質量は7434kg、マーズワンが2020年代に予定する着陸システムに見合うよう性能の向上を必要とする。マーズワンはこの調査研究を利用して計画を改善していく予定である。

 

 1 背景

2013年3月、パラゴン・スペース・デベロップメント社は、”環境制御および生命維持システム(ECLSS)”モジュールついてのコンセプトデザインに関する調査研究をマーズワンから依頼された。ECLSSは、人類が火星上で生存するために必要な重要なシステムのひとつである。このリポートの要約は、パラゴン社が行った調査研究の結論と重要な発見をまとめたものである。 オリジナルのリポートは、以下のマーズワンのウェブサイトから入手できる。

Keeping humans alive on Mars: Independent Surface Habitat ECLSS Concept Design Assessment by Paragon - Press Releases - News - Mars One

 

2 火星上で人類が生存するには

南極や国際スペースステーションのような極限環境で人間が生きるためには、生命維持システムのような技術の助けが必要になる。 最初の火星開拓者たちが、効率的に居住空間を操作維持できるようにすることが重要だ。 

アウトポスト(居住拠点)においてクルーとシステムが表1のような最適性能作り出すには、狭い値の範囲が必要だ。 特記すべきなのは、これらの値は一基のECLSSモジュール、4人のクルーを維持するためのものだが、マーズワンの仕組みは、2基のECLSSモジュールが、2棟の居住棟をサポートするものだ。 これにより、システムメインテナンスが必要な時は、もうひとつがバックアップとして機能することになる。

火星で消費される資源を地球から送るのは現実的ではないし、かなりの費用がかかるので、必要な水や空気は火星の現地で調達可能な資源から作られることになる。 この方法は、現地資源利用技術 (in-situ resource utilization - ISRU)と呼ばれる。これは長期にわたる自給自足に欠かせない。 

安全と冗長性は、ECLSSのデザインにおいて最も重要である。ECLSSの各モジュールは、自動的に火災を感知し消火(霧状ミスト消火を推奨)、居住環境自動制御、モジュールがオフライン状況下での30日間の消費資源貯蔵機能などを備えている。 これらの機能は、塵嵐(ダストストーム)の影響でソーラーパネルの生産電力が落ちた場合の悪影響を軽減するためにデザインされたものである。

        表1.  最初のクルー到着後の居住環境

        Mars One outpost conditions post crew arrival

3 ECLSS デザインアーキテクチャ

マーズワンECLSSは、特に簡素さ、信頼性、耐久性、サブシステムの復旧時間を最小限に留めるなどを考慮してデザインされた。 すべての生命維持機能は、物理的、化学的なプロセスを使って供給される。植物やバイオマス的な空気再生産からは独立してデザインされている。

              表2. ECLSSの物理的・電気的特徴

              ECLSS physical and electrical characteristics

質量と容積の要件については、現存する材料や物理的プロセス、また基礎的な技術を使うことにより可能な限りデザインを簡素化することを第一の目的としたため、今回の初期調査研究においてはゆるめになっている。 将来的に質量と容積を軽減するには、開発コストの上昇を伴ない、さらに複雑で効率的な生産方法が必要となるだろう。

表2は、各ECLSSのモジュールの物理的、電気的な特徴を表したものである。図1では、各ECLSSモジュールのレイアウトの概要と重要なサブシステムの関係を示した。

 

現地資源利用技術(In-Situ Resource Processing System - ISRPS)は二つの重要な機能を持っている:火星表土からの水分抽出と火星大気からの窒素とアルゴンの生成である。 表土を熱し水分を蒸発・凝縮し、水管理システム(WMS)により浄化する。窒素/アルゴンは、ジュール・トムソン効果を使いCO2(火星の大気の~95%)を液化または固体化して作られる。

 

水管理システム(WMS)は、現地資源利用技術(ISRPS)から生成された生水や居住空間中の湿気などを収集し、飲料に適した衛生的な水を精製する。 その他にWMSは、酸素生成のために空気管理システム(Air Management System - AMS)にも水分を供給する。 WMS内の排水は、微粒子ろ過 (particulate filtration)、活性炭(activated carbon)、水相触媒反応器(aqueous phase catalytic reactor)、二層イオン交換体(two ion exchange beds)などを通過し浄化される。 紫外線消毒灯(ultra-violet disinfectant lamp)は、貯水タンクの微生物汚染を防止するため、各供水ポイントやWMS内の3箇所の要所に設置される。

 

空気管理システム(AMS)は、四層分子ふるい(four bed molecular sieve)を使いCO2のレベルを制御、水分の電気分解により酸素を生成、絶対圧や異なった気体の分圧を制御、火災の発生を感知/火災復旧、微粒子や汚染物質の除去をし、全体の空気の状態をモニターする。

 

熱制御システム(Thermal Control System - TCS)は、電子機器から出た熱をバランスよく拡散する機能をもつ。 能動的構成機器(例:liquid cooling loops and electrical resistance heaters)と受動的構成部分(例: insulation and surface coatings) を一緒にうまく活用することにより達成することができる。

 

最後に、含水廃棄物処理システム (Wet Waste Processing System - WWPS) は、人間の排泄物を隔離し、乾燥風を当てて湿度交換膜を使い、水分を抽出する。

                     図1.  マーズワンECLSS居住棟における主要機能の概要と関係

 Mars One Habitat ECLSS Functional Layout

4 結論及び将来的な課題

パラゴン社のコンセプトデザインは、マーズワンのアウトポスト(居住拠点)で必要となるすべての消費資源を現地調達できるような有望なECLSSアーキテクチャを提示した。 ECLSSの質量については、初期見積もり(~7500kg)よりも超過しているため、質量に焦点を当てたデザインの追求が要求されるだろう。 ロッキードマーチン社の着陸システムの上限質量を拡大することで、ECLSSデザインも改善されるものと予想される。 


また、火星上で日照時間が一番短い日においては、ECLSSが必要とする電力が不足することが指摘された。 従って、太陽光パネルを増やした方がよいのか、または空気貯蔵タンクの容量を増やすこと、どちらが効果的なのかを今後検証していくことが必要となる。

 

最後に、ECLSSの多くの構成部品を3Dプリンターで現地生産していくことで、長期的な補給コストを抑えることが期待される。

 

マーズワン  http://www.mars-one.com/

パラゴン・スペース・デベロップメント  http://www.paragonsdc.com/

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(注*上記は、読者の皆さまの利便性を考慮し、私個人が日本語翻訳いたしました。マーズワン財団が承認したものではありません。 翻訳の内容に疑問をもたれる方は、以下原文をご参照いただければ幸いです。もし翻訳に誤りなどがございましたら、コメント欄にてご指摘くださいませ。 ご協力ありがとうございます。

The story above is the Japanese translation of  How to keep humans alive on Mars - Abstract Surface Habitat ECLSS Conceptual Design - Blog - Mars One Community Platform. It has been prepared for the convenience of Japanese language readers.   It is "not" the official translation approved by Mars One.   If you have any questions about the translation,  please refer to the original English page. 

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普段SF小説を読まない私が読んだSF本2冊目はこれだ!

マーズワンの候補者たちが一番お奨めする火星を舞台にしたSF小説です。

地質学、地理などが好きな方は、楽しめると思います。 私が世界中を旅して見てきた似たような地形を思い出しながら読んでいました。 火星の地図を手元に置いて読むとさらに臨場感が味わえます。 火星に移住した人たちの会話、政治、火星の地形の描写(もちろんテクノロジーの話も)などがほとんどです。 最初からドキドキハラハラ感を期待する人は読んではいけません。 物語はゆっくりと進みます。 火星の大河ドラマです。 

  

                                         

ディズニーランドに行ったことがない私のおすすめのディズニー映画はこれ!

マーズワンの他の候補者に薦められて私も観にいきました。

皆さんもだまされたと思って観に行ってください。

 ”トゥモローランド”

 

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